下書き
真夜中。高田馬場のTSUTAYAでやばいもん発見。車いすの老婆(片足が無い)をものすごい太って気が弱そうな目をした丸坊主の男が押している。見るからに異常な雰囲気。普通じゃない。なにやらごにょごにょ話し込んでる。
『私の金また盗んだろーーー!』と老婆が突然甲高い声で叫びだした。
『通報してやる!この犯罪者がーーーーーーー!』
どうやらあの太った男が老婆の金を勝手に使ったようだ。関係性はおそらく親子?
店員も驚いている。店中に老婆の声が響き渡る。男は何を言われても無言。無視を貫いている。
太った男が急いで老婆を押して店を出ていく。
俺も気になりなり程度距離を取りつつ後を追う。野次馬根性絶賛発動中。
外に出てもまだ老婆は怒鳴ってる。
『真昼間からブラブラして近所の人がお前がなんて呼んでるのか知ってるのか!』
『そんなに太って!』
『あたしが死んだらどうするんだよ!お前はどうやって生きていくんだよ!』
おそらくあの二人は親子で、片足が無い老婆の障碍者年金のようなもので生活してるんだろう。
男は良い年こいて無職。母親に頼り切り。
なんだが見ているこっちが辛くなってきた。どうしてあの男は働かいのだろう。自分の母親(予想)があんな状態になったら普通は働く。
あんな状態の母親の障碍者年金に頼って生活して恥ずかしくないのだろうか。
親子はTSUTAYAの目の前にあるかなり古びた集合団地に吸い寄せられるように入っていった。老婆はまだ何事か怒鳴っていた。
しかし、まあ俺もあまり人のことを言えないか。大学もほとんど行かずアルバイトもせず毎日フラフラしている。
確実に留年する。やりたいこともない。
上京した当初は何者かになれるって思ってた。
何かの分野で有名になれるって。死語だけどビッグになれるって思ってた。
現実は厳しかったけどね。
俺には何の才能もない。
何にもなれない。
でも当たり前だ。何者にもなれない人のほうが多い。
世の中すごい人ばっかじゃ回らないだろ。無名な人ばっかりだ。
俺もその中の一人になるだけだ。何らおかしいことはない。
そろそろ大学に戻ろう。真面目になろう。
何者にもなれない俺は普通になるしかないんだ。