洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

う・な・ぎ

僕は友人の谷中と居酒屋で杯を交わしていた。すると谷中が唐突に切り出してきた。「時にお前さん、彼女とはどうなったんだい?」「彼女ってサキコのことかい?」「そうに決まってんだろう」僕にはサキコという恋人がいた。過去形で。「サキコとはもう別れたよ」「ほええ。お似合いのカップルだったのによ」「いやいや。あいつのメンヘラぶりに愛想が尽きたのよ」「メンヘラ?サキコちゃんがかい?」「そうだ」

 

サキコはメンヘラだった。つまりメンタルを病んでいた。それもかなり。「具体的にどんなことがあったんだい?」「そうさなあ。丑の日に近所のうなぎ屋に行ったときによ」「ほうほう」「二人で高級うな重を食ってたらさ。サキコの食い方が珍妙というか完全に常軌を逸してたのよ」「というと?」「サキコはうな重のうなぎを箸も使わずにチューチュー吸うんだよ」「うわあ。きちいなあ。なんかそれ世間一般とは違うタイプのメンヘラじゃねえか?」

 

事実サキコはうな重を吸っていた。僕はそれを見た瞬間サキコへの愛情が急速に冷めていくのを感じていた。「まあまだあるからよ話を聞けよ。そんでよ。ごはんも箸使わずに犬みてえにバウバウ食うんだよ」「あはははは。ただの食い方が汚ねえ女じゃねえか」「笑い事じゃねえよ。それだけじゃねんだよ」「すまんすまん。んで?」「そんでよ。いきなり顔をあげて、私とウナギどっちが好き?とか聞いてくるんだよ。だから比べるのがおかしくねえかって言ったらよ」「ふんふん」

 

「いきなりさっきまでチューチュー吸ってたうなぎをひっつかんで、それ使ってビンタよ」「やばすぎ」「挙句の果てに半狂乱で店の水槽に入ってる生きてるウナギを掴んで、頭から齧りだすしよ。こう暴れてるウナギを鷲掴みにしてだぜ?」「情緒不安定にも程があるだろ。生きてるウナギ齧るってどういう感情だよ」「だろ?生きてるウナギ頭から齧る女見たことがねえよ。店中も大パニックでよ。妖怪だ妖怪だってよ」「そんな女、この先見ることもねえだろうよ」

 

「最終的には生きてるウナギを俺の首に巻き付けて絞め殺そうしてくるしよ」「あはははっ。恋人殺そうとして凶器がウナギって。聞いたことがねえよっ」「んで、もう無理ってんで別れたわけよ」事実それが原因で僕とサキコは袂を分かつこととなった。「てことはお前さん、今フリーかい?」「おう」「女紹介してやろうか?」「頼むよ」「条件は?」「そうさなあ。うな重を箸で食う女かな?」「「あはははは」」こうして僕たちの宴はいつまでも続いた。

悪名初夜

今のバイト先の店長はハゲている。ハゲと言ってもいろいろあるので詳しく説明すると頭頂部からハげるタイプのハゲで、平たく言うとザビエルみたいな感じになっている。

 

ザビエルはハゲではなく信仰上の都合であのような髪形にしていたが、店長は天然物。希少価値高いよ。ごめん。言い過ぎた。そして店長はまだ20代後半。もしかすると自分もあと10年もしない内に店長みたいになるのではないかと思うと背中に氷水を入れられたような気分になる。

 

しかし僕の父親は50代だがフサフサであるから大丈夫だ、ビビッて損した。あははこりゃ傑作と思っていると同僚から隔世遺伝の法則を聞かされた。つまりこれは父親がハゲていなくても祖父がハゲていたら自分のハげる可能性があるというものらしい。

 

しかも僕の祖父は確かハゲだった。すげえハゲだった、。サザエさんの波平みたいな感じ。あちゃー。やばいね。まあ、まだハげるとしても数年あるからワックスつけて毛先遊ばせまくります!そうすると余計にハゲるスピード増すのかな。

 

ちなみに前のバイトの店長はフサフサで、前の前はハゲだった。わお、ここでも隔世遺伝の法則。違うか。

 

時をかけるってよ。

時をかける少女を見て思った。僕も時をかけたい。タイムリープしたい。いやタイムリープしなければならない。あの日に戻らなけばならない。高校時代のあの日にあの場所あの時に。

 

高校時代のあの日。僕は級友のカップルが放課後の誰もいない教室のカーテンの隅に隠れて激しい接吻をしているところを目撃してしまった。幸いにも向こうは僕に気が付いていないらしく、その時の僕はニヤニヤ薄汚い笑いを浮かべながら、あららららお盛んなこってす。くふふふ。どうぞどうぞごゆっくりお楽しみくださいと教室を後にした。

 

その後そのカップルは接吻だけじゃ我慢しきれず立ち入り禁止の屋上に侵入しておセックスをおっぱじめたが他生徒に見られ校内中の噂にされるという恥辱の目に合うこととなった。

 

もし僕がタイムリープすることができたらあの日あの時あの場所であのカップルに「やいやいやいやいやい!!この助平共が!!校内でそのような破廉恥行為は言語同断!!わきちの目が黒いうちは如何なる理由があろうと許さねえ!!しかし不幸中の幸いというか今回だけはわきちに免じて目をつむってやるから以後気を付けるように!!」と厳しく注意しておけば良かったのだ。そうすれば屋上でおセックスなどのような愚行を働かずに済んだはずだ。

 

まあ、結局そのカップルは屋上でのおセックスがばれた後もも昼休みにトイレでヤッてるとかそんな噂もけっこうあったからどっちみち無駄だったと思うけどね。あはは。

ゆえにだよね。うきょきょきょーーー

僕はコンビニエンスストアが嫌いだ。便利なのは認める。逆に容易に何もかもが手に入りすぎて困るのだ。平たくいうと無駄金をせっせと使ってしまう。僕は今までいったいいくらコンビニの売り上げに献上してきたのだ。腹が減るとすぐにコンビニで何か弁当など買ってきてしまう。そしてこれが高くつく。必死こいてバイトした金がほとんど消えてしまう。自分で自炊をすれば良いのはわかっているがどうもそれもめんどくさい。

 

ゆえにコンビニ飯で大抵済ませてしまう。さらにコンビニで書籍・週刊誌の立ち読みもかなりする。僕たち一人一人には天命というかそれぞれ生まれてからすべきことがあるというのに、コンビニによりかなりの貴重な時間を削られている。金もかさばるし、時間も空費するしほんと百害あって一利なしとはまさにこのことって思ってたら、それを根底から覆すできごとが先日起きた。

 

僕は久しく女を抱いていないのでいっちょハンティングといきますかって渋谷の雑踏に足を踏み入れた。そこで貞操観念が緩そうな女を見つけて声をかけた。「君、僕んちこない?」「え?いいよー」「ちょ、ちょっと待った。良いのかい?そんな簡単に」「いいよ」「家にくるってのはつまりあれだよ。セッションというか、契というか、夜戦というか、組体操というか、足し算というか、仲良しというか、まぐわうというか、あいみるというか、一汗かくというか」「エッチするんでしょ?」「まあ、平たくいうとそうさね」「いいよ。いこうよ」「お、おお」って感じに最近の若い子の考えることはわからんなあと思いながら我が家に到着。

 

お互い服を脱ぎ捨て、さあ尋常に始めますかって時にあれがない。ゴムが無い。避妊具がないのだ。「ゴムなしじゃだめかい?」「だめ」「どうしても」「うん」意外とお堅い子だった。いや家に来た時点ではお堅くはないか。「サランラップをチンコに巻き付けて代用じゃダメ?」「ふざけてんの?」僕はこんなコントのようなやりとりをしている場合ではないのだ。一分一秒でも早く愛する息子を慰めてあげたい。

 

長年僕のせいで寂しい思いをさせてきた息子に日の目を見せてやりたいのだ。「じゃあ、どうすれば良いんだい!?近くにドラッグストアもねえしよ!どうするんだい!?生殺しかい!?」「コンビニ行けばあるじゃん?」妙案だった。この女は身持ちは軽いが脳は軽くはないようだ。そうと決まればコンビニに一路、急ぐ僕だった。阿阿、コンビニ様様。正に人類の英知。今まですいませんでした。これからはあなたに足を向けて眠れません。不肖藤田、あなたのために粉骨砕身一所懸命頑張ります。

 

 

僕は潔癖

人に話すと驚かれるけれど僕はこう見えて潔癖症だ。しかし僕の潔癖症は通常のものとは仕様が多少異なっている。一般的に想像される潔癖症とは目に見えない菌などの汚れが以上に気になり何度も以上に手を洗ってしまう人や、吊革を掴めない人のことなどをいうと思う。僕の場合は目には見えない菌などを気にして何度も以上に手を洗ってしまうという症状も含みつつ、観念的というか精神的な汚れも以上に気になるのだ。

 

これだけの説明では理解するのは難しいと思うので、具体的には例えば女主人公がひどいレイプをされた漫画を読むとする。すると自分まで犯されたような気になって、その漫画を触った手を洗わずにはいられなくなる。その穢れを洗い落としたくて仕方なくなるのだ。

 

余談だが僕はよく街中でウンコを漏らす。しかし別にこれは人までウンコを漏らして快楽に浸っているわけではない。自分の家以外の便器に座ることができないのだ。

 

したがって街中でウンコがしたくなってもほぼほぼ間に合わずに漏らしてしまうのである。潔癖ゆえに便器に座れずうんこ漏らして不潔になるのであって、僕のことをただのウンコ漏らし野郎だとは思わないで欲しい。策士策に溺れると言うでしょう?潔癖がゆえになんですよ。

 

とりあえず街中でウンコ漏らしてる人見たら生温かい目で見てやってください。僕かもしれないので。

 

 

 

 

 

 

もう戻れぬ日々

僕はアパートの角部屋に住んでいる。築5年で比較的真新しいアパートだ。このアパートを正面から見て二階の一番左の部屋に僕は住んでいる。即ち隣人は右の部屋の者だけということになる。そしてこの隣人と僕はいささか因縁がある。

 

騒音トラブルによってだ。互いにやれテレビの音がうるさいだの、話し声がうるさいだの小競り合いを延々繰り返してきたのだ。お互いに音がちょっとでもすると壁をドンと殴るのだが、それがエスカレートして壁をドンから壁をラッシュするようになったのだ。

 

つまり以前は隣からちょっとでも音がすると単回壁をドンとするだけだった。これを壁ドンとする。そしてそれがエスカレートして複数回壁をドンするようになったのだ。それが壁ラッシュである。初めはラッシュもドンドンドンと二、三回するだけだったが、最終的には何十回とするようになり、さらには掛け声もまでつくようになった。

 

僕が隣の部屋からちょっとでも音がすれば「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」と壁をラッシュすると隣人も負けじと掛け声付きで「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」とラッシュの応酬となるのである。

 

しかしこのような泥仕合もあっけなく終わってしまうこととなった。隣人が突如引っ越してしまったのだ。これにより僕の心にもたらされたのは喜びではなく圧倒的虚無感・虚脱感だった。まるで大切なものを失ったかのように心のポッカリと穴が空いてしまったのだ。

 

もう大音量でAVも流してもラッシュをする相手がいない。あの壁ラッシュの応酬をすることができないのだ。思うに騒音も料理やプレゼントなどと同じで相手ありきの物なのだ。相手がいなければ意味がない。

 

バカな僕は相手がいなくなってからようやくそのことに気が付いた。そして気が付いたところでもう遅いのだ。今や誰に聞かせるでもない大音量のAVが部屋中に響き渡っている。しかし誰も壁をラッシュし注意してこない。

 

阿阿、素晴らしき壁ラッシュの日々よ。戻ってきておくれ。僕は大音量で垂れ流しているAVを見ながら壁ラッシュをする要領ででチンコをしごくことにした。「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」この叫びが去っていった隣人へのレクイエムとなる。

 

因果なもの

うーん。静かだ。実に静かだ。この水を打ったような静けさこそ自分が長年求めていたものに違いない。自分は今、真夜中のとある公園に一人来ている。ベンチに腰かけている。まさに静けさによって凝り固まった思考が解きほぐされていくようだ。どれ、自分の人生について考えてみようじゃないか。

 

今まで自分の人生についてなんてこれっぽっちも考えたことなんてなかったものな。いつまでもふらふらしているわけにはいかんだろう。するとそこに出し抜けに女が自分の横に座ってきた。

 

はて、これは実に珍妙だ。理解に苦しむ。なぜ、わざわざ自分の隣なんかに来る。園内にはベンチが他にも四つも設置されている。そしてどれも空いている。だのになぜ自分の横になんか座るのだ。

 

ちらりと女を見ると、とても良い女だった。色白で顔の造作が整い女優のような気品さえ感じる。「もし?」女が自分にいきなり話しかけてきた。「ぼ、僕に御用で?」と聞く。「ぶしつけで申し訳ないのだけれど、ちょいと頼みがありまして」どうやら頼み事らしい。

 

なぜだか妙な胸騒ぎがする。「は、はあ。僕にできることならやりますが」「ありがとう。私を強く抱きしめて欲しいの」「だ、抱きしめるですか?しかし、なぜ?」「理由は言えません。とにかく強く抱きしめて欲しいのです」「それくらいなら、お安い御用で」

 

自分は言われるがままに女を抱きしめた。香水か何かの良い臭いまで漂ってくる。いかん。いささか興奮していきた。下半身に血が集まる。これは勃起してしまうかもしれん。理性よ、保ってくれ。

 

しかし自分の願い虚しく、鉄鋼のように固くそそり立ってしまった。もう、なんだかどうでも良くなってきた。こんな夜中に見ず知らずの男に抱かれようとした女のほうが悪いではないか。自分にはこれぽっちも非はあるまい。

 

そう考えるとひどく興奮してきた。どれ接吻もしてしまえ。「ちゅっ」自分は勢いにまかせて女に唇に接吻もしてしまった。女は一切動じない。マグロ女か。これはもっと先へ進んでも良いということか。それとも最初からこれが狙いだったのか。けだしただの破廉恥女だ。ならばもう遠慮することはあるまい。

 

自分は右手で女の胸をまさぐり、左手で女のスカートめくりあげパンツに手を突っ込んだ。しかしなにやらおかしい。左手の具合がおかしい。女のあそこってのはこんな具合だったかしら。それともこの女固有のものか。

 

自分は気味が悪くなり急いで左手を引っ込める。なにやら左手に黒いものが付着しておる。これは、ウジ虫だ。とすると、自分は急いで女のパンツの中を覗き込む。そこには大量のウジ虫がわらわらと蠢いていた。「うわあああああああ」とそこで自分は目が覚めた。

 

自室だった。どうやら自分は夢を見ていたらしい。実にリアルな夢だった。しかしそれ以来自分は女のあそこを触ることも舐めることもできなくなった。三度も飯より女のあそこが好きだったのに。うーん。実に因果なものだ。