洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

もう戻れぬ日々

僕はアパートの角部屋に住んでいる。築5年で比較的真新しいアパートだ。このアパートを正面から見て二階の一番左の部屋に僕は住んでいる。即ち隣人は右の部屋の者だけということになる。そしてこの隣人と僕はいささか因縁がある。

 

騒音トラブルによってだ。互いにやれテレビの音がうるさいだの、話し声がうるさいだの小競り合いを延々繰り返してきたのだ。お互いに音がちょっとでもすると壁をドンと殴るのだが、それがエスカレートして壁をドンから壁をラッシュするようになったのだ。

 

つまり以前は隣からちょっとでも音がすると単回壁をドンとするだけだった。これを壁ドンとする。そしてそれがエスカレートして複数回壁をドンするようになったのだ。それが壁ラッシュである。初めはラッシュもドンドンドンと二、三回するだけだったが、最終的には何十回とするようになり、さらには掛け声もまでつくようになった。

 

僕が隣の部屋からちょっとでも音がすれば「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」と壁をラッシュすると隣人も負けじと掛け声付きで「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」とラッシュの応酬となるのである。

 

しかしこのような泥仕合もあっけなく終わってしまうこととなった。隣人が突如引っ越してしまったのだ。これにより僕の心にもたらされたのは喜びではなく圧倒的虚無感・虚脱感だった。まるで大切なものを失ったかのように心のポッカリと穴が空いてしまったのだ。

 

もう大音量でAVも流してもラッシュをする相手がいない。あの壁ラッシュの応酬をすることができないのだ。思うに騒音も料理やプレゼントなどと同じで相手ありきの物なのだ。相手がいなければ意味がない。

 

バカな僕は相手がいなくなってからようやくそのことに気が付いた。そして気が付いたところでもう遅いのだ。今や誰に聞かせるでもない大音量のAVが部屋中に響き渡っている。しかし誰も壁をラッシュし注意してこない。

 

阿阿、素晴らしき壁ラッシュの日々よ。戻ってきておくれ。僕は大音量で垂れ流しているAVを見ながら壁ラッシュをする要領ででチンコをしごくことにした。「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」この叫びが去っていった隣人へのレクイエムとなる。