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洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

各々のがんばり

あれは去年の深夜の大晦日のことだ。僕は例年の如く一人で自室に過ごしていた。テレビからは実に楽しそうな人々の風景が絶えずに流れていて、こういった人々を中心に世の中は回っているというととを嫌でも痛感させられた。しかし特段に寂しいとは思わなかった。恋人と過ごす者、友人と過ごす者、家族と過ごす者。

 

 

 

彼らを見てそりゃ多少は羨ましいとは思う。それでも一人でいたい理由は他人といることとの煩わしさだ。とにかく人に対して気疲れするのが堪らなく嫌なのだ。それは家族だろうが同じ釜の飯を食った友だろうが変わらない。

 

 

そんなことを考えているとふと空腹に気づいた。家には何も無かったので近所のコンビニに行くと予想通り閑散としていてやる気をこれっぽちも感じられない店員がただ虚空を見つめているだけだった。雑誌コーナーを見ると青年が一人で熱心に少年誌のようなものを見ている。

 

ここにも同士がいたのだ。たった一人で深夜の大晦日にコンビニで立ち読みなんて過ごし方をするなんてどう考えても僕側の人間のすることだ。世間一般でいうリア充と呼ばれている人種がそんな大晦日の過ごし方をするわけがない。

 

そう思っていた矢先に、雑誌コーナーの横にある男女兼用のトイレが勢い良く開かれた。立ち読みをしている青年に向かって、「お待たせ~!!!」悠然とそう言い放ち一人の女の子が出てきた。美人とまでは言えないが頬が赤く愛嬌のある顔立ちと言える。僕は一瞬で彼女に好意を抱いた。

 

どうやらこの二人はカップルらしい。青年は一人ではなかったのだ。青年は僕側の人間ではなかったのだ。僕は自分の早合点を心の中で恥じ、カップルの楽し気な会話をBGMにしながら適当にカップ麺を選び会計を済ましコンビニを後にした。

 

家に付きお湯を沸かし、カップ麺に注ぎ込み三分が経ち、さあ実食といったところで割りばしが入っていないことに気付いた。僕は自炊を全くしない人間なので家には常備の箸なんて存在しない。あのやる気の無さそうな店員が入れ忘れたのだ。

 

あそこで確認しなかった自分を悔やんだが麺は刻一刻と伸びる一方だ。僕は逡巡していた。机の上に置かれている二本の鉛筆を使うかどうかを。人ととしてこれで良いのだろうか。大晦日の食事がこれではたして来年一年を無事に乗り切ることができるだろうか。そんな考えが次々に頭の中に出ては消えていった。

 

しかし食欲が勝り、鉛筆を逆さにして麺を食べた。使っている物が箸ではなく鉛筆であることを少しでも忘れようと夢中で食べていると、なぜか涙が止まらなかった。