ホラー小説 その肆
休日。家から歩いてすぐの常に人の入りが悪いショッピングモール。俺は広い階段の踊り場の備え付けのソファで読書。あ、あと言っておくけど、これ小説でも何でもねえから。なんつーのかな。ただ衝動を書きなぐってるだけだから。だからいろいろ破綻してるけど気にしないで欲しいっつーか。まあそんな感じ。
読書中にふと顔を上げると、よろよろと杖をついた爺さんが歩いてきたの。たまに見るじゃん。滅茶苦茶ちょっとずつしか進めない爺さんとか婆さん。ちょこちょことしか歩けないやつ。あれ見てるとイライラすんだよなー。俺ってば。爺さんてばそんな感じなのに階段を下ろうとしてやがんの。どんだけ時間かかるっつー話じゃん。
だからまあ蹴り落してやったわけ。おらあっ!って。爺さんごろごろごろーー!階段転げ落ちて壁にドンっ!ってぶつかって動かなくなっちてってさあ。さああ読書も戻ろってソファんとこに行ったら横に赤ちゃんを抱っこした若い女が座ってんの。んで赤ちゃんの毛の生えそろってない柔らかそうな頭見てたら、これ地面に叩きつけたらどうなるんだろう?って疑問がふつふつと沸き起こってさ。こうなると誰も俺を止められないよね。
わあ~~可愛い赤ちゃんですね~~。(にっこり)
ええ?ああ、はい。ありがとうございます(訝しげに)
僕、滅茶苦茶赤ちゃん大好きなんですよ~~。(にっこりにっこり☆彡)
あ~、そうなんですね・・・。
あの、不躾なお願いなんですけど~、ちょっとで良いから抱っこさせてもらえません~~?(上目使いで恐る恐る)
あ~、え~。(おそらくどう断ろうか考えている)
お願いします~お願いします~。(涙うるうる)
はあ、わかりました。どうぞ。(観念)
わ~!ありがとうございます~!!可愛い~~~~~!!(滅茶苦茶嬉しそうに)
ブオンッ。ドンッ。
赤ちゃんを上下逆さまにし、渾身の力で床に叩きつける。一瞬で動かなくなる。心なしか頭が微妙に凹んでいるような?
茫然とする女。
とりあえず鳩尾に渾身のローキック。ぶっ飛ぶ女。蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る。
おい。後ろから突然の呼びかけ。振り返ると奴がいた。いや全然知らないけど。小太りの色白なオタクみたいなやつ。
金
は?
だから金?
は?
いや金よこせよ
誰に?
俺に
誰が?
お前が。
なんで?
黙っててやるから。
何を?
諸々の暴行
普通さあ、警察に通報とかじゃないの?それか義憤に駆られて殴りかかってくるとか
いや、そんなこと意味ないし。興味ないし。
あ、そう。
うん。だから金
いくら?
5000円くらい。
なんで?
ゲーム買うから
傑作だ。笑いをこらえきれなく俺。こうして奴と友達になった。