洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

ホラー小説パート2

『私の持論は人には必ず役目があるということです。人それぞれには才能があり、それを最大限活用する場があると思います。私にとってはそれが御社だということです』

 

俺は全身鏡の前に立ち真新しいスーツを着込み慣れない手つきでネクタイを結びながら面接で言うセリフを口に出して練習している。

 

これで一体受けるのは何社目だろうか。俺の本音はあくまで「どこだって良い」だった。やりたいことも特にないし、人に誇れるような特技もない。世間体のためにもどこか適当に就職しなければならない。しかしこんな投げやりな態度では受かるわけもなけもなく俺の就活連戦連敗だった。

 

ふと先日の同じゼミの岸本と安田の会話を思い出す。会話の内容は俺を卑下するものだった。「お前まだ内定もらえないの?やべえぞ。もう俺とっくにもらってるぞ」「うるせえよ。藤田だってまだ内定ゼロだろうがよー」「お前あいつと比べちゃだめだって。マジで」「まあ、確かになー。藤田って影薄いし」「社会に出たら真っ先に消えるタイプだろ」「小学校の頃はサッカーでヒーローだったって自慢してたぜ」「いつの話してんだよってな」

 

いつからこうなっちまったんだ。俺は確かに小学校の頃は校内一の俊足でサッカー部でも無双状態だった。女子からだってそこそこモテた。それが今じゃ彼女もいないし内定もない。仲間内から軽んじられる存在になり下がった。

 

俺はヒーローになりたかった。あの頃のように。本物のヒーローに。だがヒーローになんかなれっこないことは俺が一番よく知っている。俺が一番わかっているんだ・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

俺の眼下には東京の夜景が広がっている。俺は夜、大学の屋上のいた。俺の××大学は校舎がビルのようになっており屋上が解放されている。空には満天の星が燦然と輝いている。人生を終わらせるには絶好の日のように感じた。これから俺がすることは皆さんの想像に委ねることにしたい。