今だに忘れられぬ。。。。。。許されるのならば。。。
小学三年生の頃に一生忘れられないであろう初恋をした。恋した相手は当時の同じクラスのサキコ。深淵の令嬢を彷彿とさせる上品で美しい子だった。色白で道を歩けば誰もが振り返るほどの美少女であったサキコ。そんなサキコは病気がちで体がめっぽう弱く体育の授業などはいつも見学していた。
サキコと僕は家が近所ということもあり家族ぐるみの付き合いをしていた。お互いの家もしょっちゅう行き来し、カードゲームやボードゲームにお絵描きなどをして遊んでいた。登下校だっていつも一緒だった。寝坊しがちな僕をサキコがよく起こしてくれた。
僕にはユウタという親友もいた。ユウタとはクラスは違ったが同じサッカー部の仲間だった。二人ともサッカーに熱中しており休み時間なども二人でボールを蹴っていたし、Jリーグもよく見に行っていた。家にもしょっちゅう遊びに来ていた。
そのうちユウタはサキコとも仲良くなり、三人で遊ぶことも多々あった。
その日ユウタは僕の家に泊まりに来ていた。深夜まで二人でカードゲームして二人とも眠気がピークに達していた。
「もう寝る?」と僕は言うと「うん」とユウタ。二人でカードを片付け布団を敷いた。そして僕が電気を消した。するとユウタがおずおずと切り出した。「俺さ、サキコが好きなんだ」実は前からそのことを僕は薄々気が付いていた。
僕も自分の本心をユウタに打ち明けることにした。「実は俺も好きなんだよね。サキコのこと」「アハハ!やっぱりか~!まさか親友同士の好きな子が被っちゃうパターン!?ドラマじゃねーんだよ!」「でも俺のほうがサキコのこと好きだけどな」「いや俺の方が好きだし」「いやいや俺の方が」「ふざけんなよ俺だわ」「いや俺だよ殺すぞ」こうして夜が更けていった。いつまでもこんな時が続けば良いなと思っていた。
この日いつものように僕とユウタは僕の家でカードゲームをして遊んでいた。「うあわ~!また負けた。ユウタ強すぎ」「お前が弱すぎるんだよ」「ところで最近サキコに会ってる?」「いや全然。今体調壊して入院してるらしい。」「マジか!お見舞い行こうぜ!」「だな!」「てかさ、夏休みにさ、サキコも誘って海行こうぜ!」「最高!」そこに僕のお母さんが血相変えて部屋に飛び込んできた。
「サキコちゃん亡くなったって」「「え?」」どうやら入院していたサキコは体調が急変してあっけなく亡くなったらしい。その日を境に僕とユウタは顔を合わせても喋らなくなった。
お互いの顔を見ると嫌でもサキコのことを思い出すからだ。こうして親友と好きな子を一片に僕は失った。うだるような猛暑の中、セミの声が嫌にうるさく聞こえるそんな夏のことだった。
この体験のせいで僕は小学三年生くらいの女の子にしか恋をできない体質になってしまった。今でもサキコのことを引きずっているのだ。僕はあれ以来一歩も前に進めていない。街中で小学三年生くらいのサキコに似ている女の子を見ると抱きしめたい感情に駆られる。
世間は僕のことをロリコンと呼ぶ。