春怖い
どうも藤田です
突然ですが僕は春が怖いです。春といえば日本の風物詩である桜吹雪が秒速五センチメートルで舞い散る景色が実に壮観で、老若男女問わず心躍る季節だと思います。
しかしそれに反比例するかの如く僕の気持ちは秒速で沈んでいくのです。
それには深いわけがあるわけで。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
それは一年前、ある本屋での突然の出会いでした。
僕は趣味で映画を撮っているのですが、映画関連の書籍を探しにその日は久しぶりのとある大型書店まで足を延ばしたのです。
ここで後に恋人となる桜子が書店員として働いていたのです。
桜子は芸術関連フロア担当で映画書籍も担当していました。
そこで新作入荷の映画関連書籍のことを何気なく尋ねたら桜子も大の映画好きらしく映画談議に花が咲きました。
あまりにも趣味が合うものですから、何かの縁だと思い連絡先を交換しその日は書店を後にしました。
そのままその場限りの関係になると思いきや、後日桜子のほうから映画に誘われ二人で映画を見に行きました。
そこから僕と桜子のプリミティブな交際が始まったのです。
何しろ二人とも奥手なわけですから、手をつなぐことすらままならない始末、キスなど夢のまた夢でした。
しかし僕の心はこれまでにないほど満たされていました。
茶色のセミロングで実に愛らしい顔をした桜子。
一輪の百合の花のような可憐な桜子と交際できるなんて僕はなんて幸運なのでしょうか。
これまでの人生において、自分と同じような男女付き合いに対して非活動的な野郎とばかりつるんでいた生活から一変し僕の生活は実に華やかになりました。
まさに人生の絶頂。幸せの絶頂にいました。
しかし、それはかりそめの桃源でした。
現実という鋭い刃が僕と桜子を切り裂いたのです。
桜子にガンが発見しました。
それも末期でした。
もうどうすることもできません。いくらお金をかけようとどうすることもできないのです。
神はなんと無慈悲なのでしょうか。
天にも昇る幸せから奈落の底の底まで突き落とすなんて。
悲しみに打ちひしがれる僕とは対照的に桜子は明るく振舞っていました。
その無理やり作った笑顔がさらに僕の心をえぐりました。
こんなことから出会わないほうがマシだった。
その日から僕と桜子の過去に行ったデートスポットを巡り返す作業が始まりました。
2人で回っている瞬間は、過去に引き戻され病気のことは忘れられました。
こんなにも無邪気に笑っている桜子が死ぬなんて思えません。
しかし病魔は確実に桜子の体を侵食しているのです。こうしている間にも桜子の時間は刻一刻と減っているのです。
ほどなくして桜子は死にました。
あまりにもあっけなく死にました。
陶器のように冷たくなった桜子の頬を撫でながら、僕は三日三晩泣き続けました。
そして映画を撮ることにしたのです。
天国の桜子が退屈しないような楽しい映画を。
桜子、もうすぐ完成だから待っててくれよな。
しかし完成させることはできません。この映画を完成させてしまったら僕と桜子の関係が終わってしますようで完成させることができないのです。
こうして毎年、春が来ます。桜子の命日の4月✖日。
天国の桜子に急かされているような気分になるのですが僕は決して完成させることはありません。
春が過ぎればまた一年中桜子のことを考えがら映画を作ることができるからです。
だから僕は春が怖いのです。
この季節だけ桜子のいない現実を強く意識してしまうから。
この話はさっき考えました。カレー食いながら考えました。
とりあえず今年の花見は裸踊りするからみんな俺を花見に絶対呼べよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!