貸す課すカス
原級手続きのために学校に行った。指定された教室にいくと50人くらいの俺と同じように留年して卒業できなかった奴らがいた。この親不孝共がと怒鳴りつけてやりたいところだが俺もなので耐えた。
それにしてもどいつもこいつも負のオーラに満ち満ちてやがる。カイジの作中に登場する劣悪債務者共かよ。借金でにっちもさっちもいってねえのかよ。この世の不幸を一心に背負ってるような禍々しいオーラ放ちやがって。たかが留年ごときでよ。情けねえ。ごめん。嘘ついた。僕ちん強がってた。実はすんごい怖い。もう常に小股ヒューってなってる。
文系で留年ってやばいからな。普通しねえから。留年とか。どんだけサボっても四年で普通は卒業できるようになってからな。それをできないってどんだけだよ。いやマジで。クズだよ。正直。クズ。俺たちはクズだ。せーので合唱しよう。ここにいるみんなで俺たちはクズだと声を揃えて。さあ。いくぞ。せーの。
そんなことをつらつら考えていると教室の前の扉が勢いよく開かれて50過ぎくらいのおっさんが入ってきて教壇に立った。自らのことを学部長と言っている。学部長?なんでここに来るんだ?
もしかして今から俺たち怒られる感じなの?このおっさんに?マジかよ。まあ仕方ない。クズだもん。俺たちクズだもん。しかしどうやら違うらしい。訓示的なものを述べるらしい。おっさんはマイクを持ち「え~、皆さんは普通は四年で卒業するところをできませんでした。今の日本は皆さんみたいな落ちこぼれが蔓延っています。皆さんのような落ちこぼれが大人になり社会に出ていくことで日本はさらに悪くなります。はっきり言って皆さんは今の日本に必要はありません。なので、今日は皆さんに殺し合いをしてもらいます。最後の一人になるまで。一人しか生き残ることはできません」
次の瞬間、前と後ろの教室の扉が一斉に開かれて武装した自衛隊員のような奴らが勢いよく入ってきて、リーダーらしき男が叫ぶ。
「全員起立ーーーーーーー!」
俺たちは有無を言わさず立たされた。再び男が叫ぶ。「今からお前らに武器を配る!一人ずつ名前を呼ばれたら取りにこい!いいな!」こいつらはどうやらマジで俺たちを殺し合わせるつもりなのか。本気なのか。
俺の横にいた奴がいきなり叫びだす。「ふざけんなよ!俺は家に帰るぞ!」そして教室の後ろの扉にいこうとする。次の瞬間俺の目の前に閃光が走る。ぴゅーーー。俺の横にいた奴の頬にテニスボール大の穴が開いた。どうやら自衛隊の誰かに打たれたらしい。
学部長が言った。「これでわかっただろう?殺し合うしか生き残る道はないんだよ」
続かない。