洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

おじいおじい

俺は赤羽のマックの二階の、街の景色を一望できる席で読書をしていた。俺の左の席では黒いニット帽を被った濃いブルーの汚れた作業着のようなもの着た薄らきったない爺がくちゃくちゃと聞いてるだけで、悪寒が走るような音を立てながらマックポテトを食べながらスポーツ新聞の裸の女が載っている記事を熱心に読んでいた。

俺の右側の席では白髪で無精ひげを生やした、ネズミ色のセーターに肌色のチノパンという出で立ちの品の良いおじいさんがコーヒーを飲みながら静かに単行本を読んでいた。その時俺は、見事に二人の相反する印象の老人に左右を囲まれていたのだ。それは実に見事なコントラストを描いていた。

左の爺は伸びをするときも手が俺の頬をかすめてきたし、ぷりぷりぷりと屁もこくし、靴を脱いで足を椅子の上にあげてポリポリ掻いてたけどダイレクトに足のくせえ臭いがこっちまで漂ってきたし、居眠りするときは騒音レベルのいびきをかくし、もう地獄に堕ちろよボケ!俺の右隣の品の良いおじいさんを見習えカス!育ちの悪さが丸見えなんだよアホ!とか心のなかで罵っていたから全然読書に集中できなかった。

それに比べ、右隣のおじいいさんは静かに黙々と読書しているし、また本を読んでる姿がなかなか様になってるし、まさに良い枯れ感を醸し出していた。俺もこんなかっこいいおじいさんになりたいもんだな、と一人で決心していて思ったわけだが、よく考えるとこのままいくと無収入の末に餓死になり兼ねない立場だったので心の中で左隣の爺にひっそりと謝った。