洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

天国インザデッド

僕は友人の安田の家のベッドの下で息を潜めていた。安田は不用心な奴でいつ何時でも部屋に鍵をかけない奴で、故に高度な技術が無くても誰でも侵入することが出来る。僕がわざわざ人の家のベッドの下に潜り込んでいる理由なんてものは一つしかない。悪戯だ。安田が安心しきっているところに僕が飛び出して心底驚かす作戦だ。僕が飛び出した時の安田のリアクションが今から楽しみで仕方がない。

 

30分程立ったのだろうか部屋の外から安田の声がする。どうやら誰かと一緒らしい。話し声からすると女らしい。まさか万年童貞キャラの安田が部屋に女を連れ込むなんて。僕はショックだった。と同時に腹が立ってきた。安田は周囲の人間を欺ていたのだ。偽りの童貞キャラを演じていたのだ。『俺が童貞を捨てる道程は果てしなく遠い』なんてギャグまで自分で言っていたのに。クソ。安田め。ビジネス童貞だったのか。仲間だと思っていたのに。実は僕は童貞だ。本物の童貞だ。僕も万年童貞キャラだった。

 

裏切られた気分だ。信頼していたユダに裏切られたキリストはこんな気分だったのだろうか。あいつは心の中では童貞の僕をバカにしていたに違いない。そんなことを考えていると二人が部屋に入ってきた。そしてまっすぐベッドに向かってきた。二人はベッドに座った。話を聞いているとどうやら二人は飲み会の帰りらしい。女が終電が無くなったから安田の部屋で始発まで過ごすらしい。

 

しかもどうやら安田の部屋に泊まるのはどうやら初めてではないらしい。クソ。やはり安田は童貞ではないな。突然「ユイちゃん。肩揉んであげよっか?」と安田が言い出した。どうやら女はユイというらしい。というか安田、お前なんだ見え透いたやり口は。どうせエロいことおっぱじめるつもりだろ。「え?いいの?おねがーい」とユイ。

 

このビッチが。ヤリ捨てられろ!「俺ってさー。けっこううまいっしょー?」「うん、最高~」「ここ?」「そこそこ~ああ~気持ちい~」「ユイちゃん、巨乳だから肩凝るよね~」「安田くんエッチだよ~」「うん。俺エッチだから」「キャー、ケダモノ~」「そうさ、俺はケダモノさ~!」いちいち古臭いやりとりしんじゃねえよ。腹立つわ。「おっぱいも凝ってるんじゃな~い?ほれほれ~」「ちょっと~だ~め」「ほれほれ~モミモミ~」「もうエッチ~」「うわ!やっぱりデカッデカすぎ!」「もう気にしてるんだから~」「いやいや、最高だって。こんなデカいの見たことないよ。ヤバいよ。俺もう。我慢できないかも」

 

マジかよ。ユイちゃんはそんなに巨乳だったのか。安田が羨ましすぎる。死ね。安田。俺と変われ。変わってくれないなら死ね。乳に圧迫されて死ね。乳死しろ。これは俺が作った造語だ。というかいつ出れば良いんだ。タイミングが分からん。いや構うものか。これ以上目の前で乳繰り合われてたまるか。腹立つわ。

 

よし、出よう。1・2・3で出よう。1・2・3。「安田ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」こう叫んで俺はベッドの下から飛び出した。見るとベッドの上には唖然とする安田と絶世の不美人がいた。豚のように平べったい鼻と黒豆のように小さい眼、ものすごいシャクレ顎、そして異様にデカい乳。安田、お前ってB選だったのか。めっちゃブスじゃねえか!女だったら誰でも良かったのか。いや乳がデカけりゃ誰でも良かったのか。安田!

 

「い、いや~。まあ蓼食う虫も好き好きっていうか、美の基準も千差万別だもんね~。いや良いと思うよ全然」なぜか変なこと言い出す僕。「ねえ。これってあたしバカにされてる?」とユイ。「そうだ!お前ユイちゃんをバカにすることは許さんぞ!これは人権問題だ!出るとこに出ても良いんだぞ!」と安田。

 

「と。とりあえずすみませんでした~!」と言い放って脱兎の如く僕は安田の部屋を後にした。部屋を後にして帰路に着く僕。空を見上げると満天の星が燦然と輝いていた。星を見ているとさっきまでざわざわとしていた心が落ち着いてきた。それにしてもユイちゃんはブスだけど巨乳だった。乳だけは本当に素晴らしかった。「今から戻って謝ったら3Pさせてくれるかな?」誰にともなくそう呟いた。