洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

池袋ウエストゲートパーク

目が覚めると真っ先に洗面台に向かった。前日から伸びているチクチクとした無精ひげを剃るためだ。蒸しタオルで顔を丹念に湿らし、シェービングフォームを塗りたくる。そしてまずは顎の下、喉仏に近いところを剃る。僕は髭が濃いほうなのでもちろん逆剃りでだ。

 

 

 

 

 

次に顎、唇の下、頬の順番で剃る。最後に鼻の下を剃る。それを終えると再び熱々の蒸しタオルで丁寧にクリームを拭きとる。これで髭剃りは完成だ。髭剃りは一種のイニシエーションだと思っている。髭剃りをしないと僕の長い一日は決して始まらないのだ。

 

 

 

 

 

余談だが僕は床屋の髭剃りも大好きだ。性格には人に剃られるもの大好きだ。いつも自分でやっているものを人にしてもらうのはなんだって気分が良い。特に髭剃りは確実だ。相手の手から丁寧にしなければという気持ちが如実に伝わってくるのが良い。毎日だってただ髭を剃ってもらうためだけに床屋に通いたいくらいだ。

 

 

 

 

話がずれそうなのでそろそろ元に戻すが、髭剃りを終えると僕は冷蔵庫から昨日の夜にセブンイレブンで買ったサンドウィッチを取り出し、勢い良く封を開けた。中は卵サンドだ。僕はこれが大好物でもある。毎日食べても飽きない。

 

 

 

 

そしてこれはコンビニのが望ましい。あの大量生産された人工的な濃い目の味付けが大好きなのだ。僕はそれを適当なチャンネルを見ながら食べると、歯を磨いて家を出た。特に行く当てはなかったが、せっかくの休日を日がな一日家にいるなんて考えただけでゾッとする。

 

 

 

 

 

家を出た僕は池袋に歩いて向かうことにした。距離は五キロほど。時間にして一時間くらい。丁度よい散歩だ。外は凍てつく寒気が弱まり。春の到来を予見させる陽光がポカポカとしていた。一時間ほど経って池袋に着いた。

 

 

 

 

 

僕はこの池袋が大好きだ。池袋は懐の深い町だ。僕みたいなお上りでいつまでたっても根無し草な人間をも受け入れてくれる。池袋には様々な人種の人間が行きかっている。ビジネスマンに大学生、オタクにヤンキーに外国人。僕はそれがとても心地よい。

 

 

 

 

 

東口は流行色が強い。サンシャインに乙女ロード、パルコに西部百貨店に大型書店となんでも揃っている。さらには食も活発で池袋はラーメンの激戦区でもある。

 

 

 

 

 

 

西口は文化色が強いのが特徴だ。単館映画館に東京芸術劇場、いくつもの古書店がある。さらにチャイナタウンもあり異国情緒溢れる景色も堪能することができる。この日は僕は東口のサンシャインシティに向かっていた。せっかくだからクレープでも食べようと思ったからだ。

 

 

 

 

 

サンシャインシティに向かう途中の池袋南公園が何やらコスプレをした人々で埋め尽くされていた。何かの催しでもあるのだろうか。それにしても彼らのコスプレはとても精巧に作られていた。前にどこかで聞いたことがったが手作りしている者もいるらしい。

 

 

 

 

 

あれほどの物を作るなんて莫大な手間と金がかかるはずだ。買うにしたって決して安くはない費用がかかるだろう。何が彼らを駆り立てるのだろうか。好きなアニメのキャラに憑依し一心胴体になりたい気持ちを僕に置き換えて考えると好きなサッカー選手のユニフォームを着てサッカーをするということだろうか。これならば確かにわかる気がする。

 

 

 

 

 

僕だって本田圭佑のユニフォームを着て一心胴体になりたい。でもテラフォーマーズのゴキブリのコスプレをした女の子気持ちはやっぱり理解できなかった。