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洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

テニスボーイの気持ち

コンビニに入る瞬間奇妙な男とすれ違った。男は丸坊主で浅黒く日焼けし無精ひげを生やし頑強な現場作業員といったような顔立ちで実際に体も逞しかった。上下おそろいの鼠色のスウェットを着ており右手にはさっき買ったであろう商品が入っている白いレジ袋を下げていた。

 

 

そして股間が【不自然なくらい自然】に盛り上がっていた。男のそのふくらみは決して男性の生理現象によるもの、つまり勃起による盛り上がりではないことは確かだった。勃起による盛り上がりなら先端が尖っているはずだ。

 

 

 

なのに男の盛り上がりは自然ななだらかな弧を描いていた。ふくらみはテニスボール大くらいだった。あれはもしかするとお金玉なのではないか。ただのお金玉が以上に大きい男なのではないか。

 

 

どうしても気になり男を見ようと振り返ると、同じタイミングで男も振り返っていた。男は目が合うと「なに見てんだぁくらぁあ」と独特な口調で言った。僕は「いえ、何も」と言っても「嘘つけぃくらぁああ」とまたも特徴のある喋りで返した。

 

 

この手の輩には何を言っても通じない。それならばいっそのことをあんたの以上にデカい股間を見ていたと伝えるべきだろうか。いや伝えるばきなのだろうなのだろう。そう思い僕は「ま、まりもっこりみたいな股間してますね」と言った。

 

 

次の瞬間男は詰め寄ってきて「だとこらぁ。いてこましたろか?兄ちゃんよおぉあ」とほぼゼロ距離で言ってきた。このままでは殴り合いになるかもしれない。それだけは避けたかった。はっきり言って僕はケンカが弱かった。ここで殴り合いになったら確実に負けるだろう。そして軽くはない怪我をするだろう。それだけは避けなくてはならない。

 

 

そして僕は懐から茶封筒を差し出し、「これで勘弁してください」と言った。大切なものだが仕方ない。今はこの状況から逃げ出すことが先決だ。男は満足げに茶封筒を受け取ると「まるで俺が金を脅し取ったみてえじゃねえかよォお。でも、ま、くれるってんならありがたくもらうけどよおおお」と言い茶封筒をポケットにしまった。

 

 

僕は「失礼」とだけ言ってこの場を後にした。男はもちろん着いてこなかった。男は何を勘違いしてるんだろうか。あれは金でなくただの猫の写真だ。僕は猫の写真を趣味で集めているのだ。お気に入りの写真は肌身離さず茶封筒にいれて持っているだけだ。金でも何でもない。あの男の中身を確認して悔しがる顔を想像するだけで気分が良い。もしかすると猫好きなら喜ぶかもしれない。これが弱者なりの戦い方だ。僕は晴れ晴れとした気分で帰路についた。