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洗体戦隊

クソ大学生の日々の日記

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ友を訪ねて三千里

日記

しんのすけは新宿の繁華街を約束の喫茶店に向かって歩を進めていた。春日部防衛隊を結成していた当時から月日は流れ、早いもので20年経っていた。もはやしんのすけは少年と言える年齢ではない。身長は180前後で細身ながらも筋肉が詰まった体躯をしていた。顔は端正な甘いマスクで俳優と紹介されても誰も疑いはしないだろう。しんのすけの仕事は戸建て不動産の営業だった。毎日毎日ノルマに追われているがお客の一生ものの不動産を売ることにやりがいを感じていた。

 

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しんのすけは約束の喫茶店に付きドアを開けた。約束の人物は喫茶店の奥の死角となる席で本を読んでいた。「やあ、トオルくん。調子はどうだい?」しんのすけは声をかけた。約束の人物はかつての親友、風間トオルだった。トオルは目を細め懐かしむように言った。「おしりぶりぶり~はもうやらないのか?」

 

しんのすけとトオルはかれこれもう20年は合っていなかった。つまり幼稚園を卒業してからは一度も合っていなかったのだ。「それにしてもしんのすけ。見ないうちに随分と変わったじゃないか」トオルはしんのすけの厚い胸筋をジロジロ見ながら言った。「そりゃそうさ。中・高・大とラグビーをやっていてね。毎日毎日ラグビー漬けさ。キャプテンまでやらされてね。やれやれだよ。」しんのすけは自嘲気味に言った。「トオルくんは予想通りだね。ザ・エリートって感じだ。」トオルは銀縁のメタルフレームの眼鏡をかけ、黒い高級そうな細身のスーツに身を包んでいた。ヘアースタイルは以前のままだったが。実際のところもトオルは東京大学を優秀な成績で卒業し官僚になっていた。

「所詮お役所仕事さ」トオルは自嘲気味に言った。「最近考えるんだが、あんなに仲が良かった俺たちが幼稚園を卒業してから一度も合わなった理由がわかるか?」しんのすけは運ばれてきたコーヒーを飲みながら「いいや、わからない」言った。「俺たちは所詮幼稚園の中だけの仲良し五人組を演じていただけなのさ。だから幼稚園を卒業したら会う必要がない。」しんのすけは無言で珈琲を飲み続けた。

 

「確かにそうかもしれない。トオル君の言う通りなのかもしれない。しかし、トオルくん。君はこれっぽちも。小指の先ほども僕たち五人組に友情を感じていなかったのかい?」しんのすけは質問した。しんのすけも確かにトオルの言い分には少なからず納得した。しかしトオルを含め四人に対して友情を感じていたのも事実だった。「どうだかね」トオルは吐き捨てるように言った。

 

 

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「それで今日はどういった要件なんだい?そろそろ本題に移ってくれると嬉しいんだけれど」トオルはふむと言い、運ばれてきたコーヒーを見つめた。「ボーちゃんが失踪した。」トオルは苦虫を噛みしめるように言った。「失踪?今、君は失踪って言ったのかい?」しんのすけは信じられなかった。確かに五人の中では一番謎が多く掴みどころがない性格だったのは確かだ。しかし失踪するほどの闇を当時は抱えているとは思えなった。「そうだ。失踪だ。そして警察は取り合ってくれない。誰も行方を知らない。だからこうして唯一連絡が取れたしんのすけに心当たりがないか聞いているんじゃないか」しんのすけは今だ唖然としていた。もちろんしんのすけだって全く心あたりはない。なにせ20年も会っていないのだ。

 

 

「警察が動いてくれないということは僕らで探し出すかしない。つまり春日部防衛隊再結成だ。」トオルは言った。「それは本気で言ってるのかい?」しんのすけは今だ信じられないといった顔で言った。

 

こうして彼らのボーちゃんを巡る冒険が幕を切った。